1社1デザイナーの提言

これまで多数の企業Webサイトを制作させていただいていますが、多くの企業様が困っていらっしゃること。それが情報のアウトプットです。

「CMSを組込めば社内で更新ができます」というと簡単そうですが、実際にはなかなかハードルが高いものです。
『お知らせしたいことがあればメールしておいてください』程度では社内の情報は集まりません。関連部署の人に話しを聞きに行ったり、時にはデジカメを使っての写真撮影も必要かもしれません。スマホで簡単に撮影できると言っても、画像データを取り出し、トリミングして解像度を合わせて…。さらには集めた情報を広報用に文章をライティングしなければなりません。
CMSさえ組み込んであれば簡単にお知らせ投稿できる。という思い込みから「若いから」「パソコンに詳しいから」と脈略もなく、本業と兼務させられることもしばしば。
実は、広報業務はとても煩雑で手間のかかるクリエイティブな業務なんです。

逆にこれらの工程を外部のデザイナーにお願いしたらどうでしょう?
作業は簡略化されますが、今度は社内の情報を集めることができません。時間的なロスも起こります。これでは何のためにCMSを導入したのかわからなくなってしまいます。

スマホで情報をその場で瞬時に集める現代では、情報公開のスピードは重要な要素です。社内の情報を集め、編集し、アウトプットできる体制、それが1社1デザイナーです。
ここで言うデザイナーとは、制作会社など一線で活躍しているデザイナーというよりは、デザインスキルを持った人材という広い意味で捉えてください。

経験を積んだプロには勝てないかもしれませんが、スマホやデジカメで写真を撮影するのはもちろん、集めた情報を再構築し、文章としてアウトプットする訓練も積んでいます。デザインスキルを持った人材というのは、問題をあらゆる角度から検証し解決に導く能力を鍛えています。こういったデザインスキルを持った人材を総務や人事に登用していくのです。

デザイナーとは絵が上手に描ける職能を持った人ではありません。最終的な美しいアウトプットは、問題の原因を探り、多くの情報を整理し、解決に導くために表現した要素の集積であると言えます。
自社を必要以上に装飾するのではなく、外部に対して正しく、100%により近い形で情報を伝えることが重要です。それに相応しい職能を持つ可能性があるのがデザイナーだと考えています。
メリットはアウトプットだけではありません。会社案内制作やWebサイト制作の際、制作会社との橋渡しの役目にもそのスキルは力を発揮します。
社内の情報を整理し、的確に社外の人間と情報の共有を行うことができます。

そしてデザインスキルを持つ人材が社内の業務を学んでいくのと同時に、業務を良く知るその上司や同僚がデザインスキルを学んでいくことも可能です。
デザインスキルを持つ人材を企業に採用する「1社1デザイナー」は、これからの企業を大きく後押しする存在になるのではないでしょうか?

筆者について

斉藤 徹

Webディレクション/UIデザイン/IA。 企業サイト・採用サイトを中心に制作、企業の広報業務のお手伝いをしています。 学生時代は建築計画/環境行動学/子どもの環境行動/学校建築。 Webと環境行動をテーマに模索中。

関連記事