制作事例:有限会社 横倉繊維

かつて「西の西陣、東の桐生」と呼ばれた織物の街 桐生で昭和23年創業、昭和56年から染色加工を営んでいる横倉繊維さんの制作事例です。

織物の街 桐生

桐生市は群馬県の北東部に位置し、古くから織物の街として栄えてきました。
今でも織物はもちろん、縦糸の必要な本数・長さ・張力などをそろえる整経や縫製・刺繍などを行う多くの企業があり繊維産業が盛んな都市です。
横倉繊維さんは数多くある工程で色を染める「染色」の工程をメインとした事業を営まれています。

B to B 企業のWebサイト

横倉繊維さんは、DCブランドやデザイナーズブラントなどの服飾付属(トーション、ラッセル、エンブ、ナイロン66、ウール等)、反物、製品染め、服飾資材の小ロットの染色を得意としています。
お客様は大手ブランドやメーカーなどの企業で、いわゆるB to B(ビジネス to ビジネス)の企業です。対して、私たちがお世話になる飲食店や美容室などはB to C(カスタマー)企業と言ったりもしますよね。
弊社は採用関連のツール制作を得意としていますが、関連してB to B企業のツール(会社案内やコーポレートサイト)制作も得意としています。
実は、このB to B企業のツール制作は苦手としている制作会社さんが多く、制作に至ってもあまりいい評価をされていないこともしばしばです。
その理由として考えられるのが、「業界・業務内容の理解不足」だと思います。
外食産業や店舗・流通業などは、一般に生活している私たちの目にも留まりやすく、その業務内容も想像することが可能です。
お店を開くのに仕入れが必要だったり、商品の品質やこだわりなどといったことですね。 しかし、B to B企業は業務内容が専門的であったり、人々の目に触れる機会が少ない部分を担っていることが多く、業務内容の理解を深めることが難しいと想像できます。企業によっては、制作している製品がどこのメーカー・ブランドで使用されているのかを公開できない場合も多くあります。
ブランド名を聞けば誰もが知っているような高級ブランドの製品に使用されている。横倉繊維さんもそのような企業ですが、数多くある制約の中で如何に情報を的確に伝えられるか?ここが肝になってきます。
業界・業務内容理解のためには、しっかりとヒアリングをする。
また、広範なビジネスの知識も必要となります。
学ばなくてはいけないこともたくさんありますが、私たちの場合は、これが仕事の楽しみと言っても過言ではないかもしれません。

設備一覧のページは何のためにあるのか?

B to B企業として横倉繊維さんがWebサイトに求めたのは、その日の作業状況・納期状況を示す情報「釜状況」でした。

昭和23年創業の老舗とはいえ、安価な海外工場にシェアを奪われつつあるアパレル業界にあって、その作業量は決して大きなキャパシティを持っているとは言えません。「○日までに××個納品可能ですか?」お問い合わせの電話の多くはこんな内容だったそうです。その度に手を止め、状況を確認し、問い合わせに答える。時には同じ質問が別の方からくることも。
玄関先に張り紙でもできればいいですが、日本全国からのお問い合わせには到底対応できるはずがありません。 Webサイトを使って解決できないだろうか? これが要望のひとつでした。


この要望に対し、WordPressのカスタム投稿タイプを使用して、各納期をトップページに表示。以来毎日、情報がアップされています。WordPressは日記を書くためのツール。そう決めつけてしまっていませんか? WordPressは工夫次第で皆様の強力な武器になります。


さて、いろいろな企業のWebサイトを閲覧していると、たまに「設備一覧」のページを見かけませんでしょうか?
特に製造系のB to B企業では必須の項目と言っても過言ではありません。なぜ「設備一覧」を公表する必要があるのでしょうか?
「会社を大きく見せるため?」「節税対策?」「自慢?」そうではありません。
それは「受注」のためです。
仕事を発注する側は依頼する企業探す時、
「染色してくれる企業」
ではなく、もっと具体的に
「◇◇の設備を○台所有している企業」
を探します。
B to Bの場合、依頼主もある程度の専門的な知識を持っているため、判断材料としてより具体的な情報が必要になります。
製造にあたり、製品の仕様・数量が決まっていることも多く「◇◇の設備を○台所有」していることが選定条件と考えて探すことが多いそうです。

こんな事ができるよ! という営業も大切ですが設備を提示しておくことで、こちらでは想像もしていなかったような依頼も舞い込んでくるかもしれませんね!

色へのこだわり

色を扱う企業さんなので、私たちが意識したのが 「特定の企業カラーを持たれないこと」 一般的には「あの企業は赤、この企業は青」など、色のイメージを踏襲してツールを制作します。
ですが、これを横倉繊維さんに適用すると、「横倉繊維の得意な色」という風に捉えられてしまうかもしれない。という懸念がありました。
ですが、企業カラーというのも必要な要素。
私たちが出した答えは、緑をベースにしたグラデーション幅の広いカラーリングです。

淡いグラデーションのおかげで、色の多様性に対するアピールにもなりつつ、柔らかい雰囲気を実現できたのではないかと思います。

織物の街から生み出す新しいスタンダード

桐生の街を散策すると、雰囲気のいい織物関係の蔵や町屋があちらこちらに見えます。 中でも特徴的なのがノコギリ屋根の工場です。桐生を構成する景観の要素としては欠かせないノコギリ屋根工場ですが、保存するだけでなく、ベーカリー・パティスリー・美容室などにリノベーションし、利用されているそうです。素晴らしい取り組みですね。
横倉繊維さんでは、そんなノコギリ屋根をロゴのモチーフにしたオリジナルブランド「Sawtooth Roof」を立ち上げ、オリジナルのTシャツやベスト、アクセサリーなどを製作・販売しています。

縫製や染色、加工など、その全てを織物の街「桐生」で行っている Made in Kiryu. のブランドです。職人さん達が持つ知識・技術。これを有名ブランドのような非日常的なドレスだけでなく、毎日着ることができるような洋服に使ったら? 織物の街から生み出す新しいスタンダードを目指し、 Sawtooth Roof は生まれました。

弊社でもパンフレット制作(デザイン、キャッチコピー、ライティング、撮影)でお手伝いさせていただいています。ネットショップやインスタ、Facebookページもありますので、ぜひ覗いてみてくださいね。

桐生にはまだまだ多くの技術や知識が眠っているのかもしれません。Made in Kiryu. が多くの人に広がって大きなムーブメントになるといいですね!

Webサイト:https://yokokuracolor.com/
[Sawtooth Roof]
オンラインショップ:http://www.sawtoothroof.shop/
Facebookページ:https://www.facebook.com/SawtoothRoof-257138814689981/
Instagram:https://www.instagram.com/sawtooth_roof/

筆者について

斉藤 徹

Webディレクション/UIデザイン/IA。 企業サイト・採用サイトを中心に制作、企業の広報業務のお手伝いをしています。 学生時代は建築計画/環境行動学/子どもの環境行動/学校建築。 Webと環境行動をテーマに模索中。

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